今年度も大学院の入試情報が公開され出願受付が開始されました。進学を考えている皆様の中には、大学院入試に向け準備をしている方や大学院生活に不安を感じてらっしゃる方もいるかと思います。
そこで今回は、他大学から本研究室に進学し、博士前期課程 ( 修士 )を修了した海塚収英さんに大学院進学の準備や大学院生時代の研究・就職活動に関するインタビューを行いました。海塚さんは、学部時代は広島大学総合科学部総合科学科に通われ、修士より千葉大学大学院へ進学し環境リモートセンシング研究センター入江研究室で2年間研究をされていました。在学当時、JpGU2022学生優秀発表賞、修士論文発表会で優秀発表賞を受賞されており、現在はデータ通信やシステム構築事業を行うシステムインテグレー企業に勤務されています。
これから進学を検討している皆さんが、大学院での生活や研究のイメージを少しでも具体的に持てるようになることを期待しています!
写真は、2022年夏の福江出張の様子。海塚さんは写真左。
Q・まずは、千葉大学 入江研究室を選んだ理由を教えていただけますか。
A– 大学3年生くらいから大学院進学を考えており、内部進学だけでなく外部進学にも興味がありました。私の学部の研究では、粒子をフィルタで採取して粒子(エアロゾル)の化学成分を分析し、観測地点のエアロゾルの傾向を解析していました。化学分析よりもデータ解析に興味を持つようになったので、よりデータ解析に力を入れている研究室に興味をもちました。
担当教授にも相談したところ、担当教授が学会員である大気化学会ホームページの「大気化学の研究室リスト」を紹介していただきました。大気化学の研究室のリストから、衛星などを用いたエアロゾルの研究があることを知り興味を持ちました。また同学会の学会誌に、学部生でもわかるように解説されている温室効果ガス観測技術衛星GOSAT(いぶき)のによるリモートセンシングの記事を読み、「リモートセンシングかっこいい」という気持ちが増していきました。リモートセンシングの研究室を検討する中で、入江研は学生が多く・観測拠点に実際に行っていることを知り、千葉大学の受験を決めました。
Q・「リモートセンシングかっこいい…」とは具体的にどんなところでしょうか?
A– リモートセンシングに興味を持ったのは、目に見えない空気の成分や動きを“見える形”で捉えられるというところに、純粋にワクワクしたからです。たとえば、私たちが普段感じている“空”は、目には透明に見えますが、そこには微粒子(エアロゾル)や温室効果ガス、水蒸気など、たくさんの成分が存在しています。リモートセンシングでは、それらの目に見えない情報を数値や分布図として可視化することができるんです。「見えないものを見て、世界を相手に、社会の役に立てる」。そんな可能性が詰まっているのが、リモートセンシングの“かっこよさ”だと思っています。
Q・環境リモートセンシング研究センターの説明会への参加や見学はされましたか。
A– コロナ禍の影響で通常のTOEICの試験が開催されなくなってしまいましたが千葉大学はでTOEICが開催されて、そのとき研究室や観測機器を見学しました。ちょうど毎週金曜日にリモートで開催されていたゼミにも参加させて頂きました。
Q・出願について流れなど、具体的に教えてください。
A– TOEICの得点が院試での配分に影響することを予め聞いていましたので、準備して受験しました。口頭試問では、用語についての定義をきちんと押さえておくといいと思います。リモセンでは、合格すれば希望の研究室に入れると聞き、研究室ごとに人数制限がないと知って安心して受験に臨めました(学部時代には、人数制限により希望の研究室に入れなかった例があると聞いていました)。
口頭試問では、現在の学部での研究と今後大学院でやりたい研究は、「今後やりたい研究」については、事前に入江先生とZOOMで打ち合わせできたので、準備も万全でした。院試前に入江先生とコミュニケーションがとれたことはとてもよかったと思います。準備をしておけば、大丈夫だと思います。
Q・入学前にどんなことが不安でしたか。また、それはどのように乗り越えました。
A– 不安はなかったし、マンネリ化するより変化を楽しむタイプなので大丈夫でした。大学時代も親元を離れて暮らしていたので、千葉での暮らしも楽しみでした。
Q・入学前後の研究テーマの変化について教えていただけますか。
A– 入学後2-3か月は本当に大変でした。解析手法もPythonのプログラミングが初めてだったため大変でしたが、先輩や同期、研究員のダミアーニさんの研究内容をきっかけに理解が深まり、とてもよかったです。 エアロゾルの研究を学部時代にもしました。大学院に入学して研究テーマを決めるときに、ちょうどダミアーニさんの論文が発表され、それがエアロゾルのリモートセンシングを研究するきっかけになりました。ダミアーニさんの論文をより深く読み込むためにも、専門知識を学ばなければいけないとも思いました。研究室の学生メンバーで開催する勉強会に参加し、コミュニケーションの重要性を強く実感しました。
Q・入江研究室のよさは、どのようなところだと思いますか。
A– 「真の学生主体」だと感じることがあります。学生の自主性が尊重されていると思います。
入江先生と一緒に観測地点に行き、機器の設置やメンテナンスを行うことも、非常に重要な活動でした。私は2022年9月に福江島の大気環境観測施設に行きました。そして、その観測データを解析し、研究成果としてまとめ、アメリカの学会 AGU2022 で発表する機会を得られたことも、非常に重要な経験となりました。
A– とにかく当時は「解析がすごく楽しかった」と思い出します。学部時代は、大気を採取してそこから粒子を抽出するなど、自分自身で実際にサンプル採集をして、年間のデータを季節変動的にどうなっているかを調べていくため、データ揃えるのに時間がかかってしまい、解析をした期間が短かったのです。しかし、入江研にはデータが沢山あったので、いろいろな解析をすることができました。プログラミングも楽しかったし、データを変えて、こちらを試してみようとか、別のものと比較してみようということが、本当にたくさんできました。知的好奇心という点でも、試行錯誤してみる機会があって、そういうことはとてもいい経験になりました。
Q・研究や学会参加についてはいかがでしたか。
A– ゼミでは、「この学会に参加してみませんか?」といった無理のない声かけがあり、学生の自主性が尊重されていました。プレッシャーを感じることはなく、自分のペースで取り組めました。
Q・就職活動について教えていただけますか。
A– M1の6月から、研究と並行して、就職活動を開始しました。研究に慣れていないなかで難しい時期もありましたが、研究活動をセーブするなど、入江先生と調整できたので就職活動を上手く進めることができました。
Q・優秀発表賞取得についてはいかがですか。
A–M2の4月のJpGUで学生優秀発表賞、修士論文最終発表会で優秀発表賞を受賞することができました。入江研究室のゼミでは、学生同士で質問するような文化がありましたし、聞き手に伝わるような資料と発表を心がけるように先生や先輩から教えて頂いており、その成果が出せた結果だと思います。
・研究室の後輩の皆さんへ
— 就活との両立もできました。いろいろ話をしながら思い出しました。役に立ちそうな情報が提供できていたら、よかったです。溝渕君たちも既に十分頑張っていると思います。引き続き、楽しく研究が続けられるといいですね。頑張りましょう。また、顔を出しますね。
・未来の研究室の後輩への皆さんへ
— 外部進学すると、卒業研究とは異なる内容に取り組むため、苦労も多いと思います。しかし、入江研究室では先輩方が作成したツールやマニュアルが整理されており、学生同士でサポートし合える環境が整っています。また先生との距離も近く丁寧な指導もいただけるたので、研究に対する不安はありませんでした。皆さんも思う存分研究生活をできると思います。
・本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。また、研究室に遊びに来てください。お待ちしています。
・インタビューは以上です。本研究室に進学したイメージができていると幸いです。本研究室に係わらず外部進学を考えている方はぜひ参考にしてみてください!!
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