こんにちは、入江研究室B4の横田です。
記事を執筆するのはこれが初めてなのですが、私の趣味である登山について、この夏の活動を共有させていただきたいと思います。
私は幼少期から登山に親しんでおり、大学ではワンダーフォーゲル部に所属しています。
今年が学生最後の夏になるので、研究はもちろんのこと後悔のない夏休みを過ごしたいと考えました。そこで、登山をとことん突き詰めたいと思い、北アルプスを中心に以下の山行を計画し、実行してきました。
山行① 穂高岳稜線縦走 (長野県)
山行② 剱岳・立山三山 (富山県)
山行③ 黒部源流環状縦走 (富山県)
山行④ 火打山・妙高山 (新潟県)
北アルプスとは、最高峰の奥穂高岳(標高3190 m)を筆頭に3000 m前後の山々が岐阜県と長野県の県境にある乗鞍岳から日本海まで続く長大な山脈であり、アルペン的なムードと美しい景色、岩稜帯などバラエティに溢れ、山小屋が充実していることも理由となり、特に人気の高い山域となっています。
この山域は何度も訪れていますが、今年は技術的難易度の高い岩稜の山々とアクセスに時間のかかる山々に行ってみたいと考えました。
各山行をきれいな写真とともに簡単に振り返りつつ、登山と切っては離せない気象の観点からも少しお話しできればと思います。
まずは、山行① 穂高岳稜線縦走 (長野県)です。
風光明媚な上高地を出発、往復40 kmの道のりです。
まずは、拠点となる標高2350 mの涸沢カールを目指します。
道中には、森で黄昏れるお猿さんもいました。
上高地からおよそ6時間。到着した涸沢カールは、氷河が削り出した圏谷で、この日は約400張のテントが村を形成していました。
翌日の早朝4時過ぎ、最初のピークである北穂高岳(標高3106 m)に向けて出発しました。
ここで、山のグレーディングについて簡単にお話ししておきます。山のグレーディングとは、登山者の遭難を防止する目的で、体力度を10段階に、技術的難易度をA~Eの5段階に分けたものです。技術的難易度はEに近づくほど難しいとされ、適切なルートを逐次見つける能力や三点確保(手足4本のうち3本を身体の安定に用い、1本ずつ動かしていくこと)により安定して岩場を通過する能力が求められます。
北穂高岳へと続く登山道は上から2番目のDに分類されており、
私自身、Cまでの山しか登った経験がなかったため緊張感を持って登っていました。
北穂高岳までの登山道は、登るごとに厳しさを増します。矢印や丸印を頼りに鎖やハシゴ、杭などが設置された岩場を進んでいきます。
そして、ようやく…
北穂高岳山頂に到着しました。
実はこの山山頂近くに山小屋があり挽きたてのコーヒーが飲めるのです!ほっと一息。
そしてここから本当の勝負が始まります。北穂高岳から南側の涸沢岳・奥穂高岳を目指す稜線は、この山域の中でも特に難しいルートの一つで、北穂高岳から北側に伸びる大キレットに匹敵する難易度です。技術的難易度はもちろんE。
あとでご紹介する日本最難関とも呼ばれる剱岳に登るためのトレーニングという意味合いもあります。
ヘルメットをきつく締め直していざ出発です!
丸印を頼りにより安全な手足の動かし方を考えながらゆっくり進んでいきます。
鉄の杭、延々と続く鎖場やハシゴなど快適な道(笑)でした。
最後に山域の最高峰である奥穂高岳に登頂し、山頂から少し下った場所にある穂高岳山荘という小屋では、高校の友人とまさかの再会。この友人こそ次の山行のバディです。
次に山行② 剱岳・立山三山 (富山県)です。
前述の友人と車で長野県へ。扇沢という場所から立山黒部アルペンルートを使って黒部ダムを経由して、登山口の室堂につきました。
1日目は、立山連峰を縦走し、剱岳への前線基地、剱沢テント場を目指します。
剱沢テント場につくと、城のような風格を持った剱岳が目の前に。その迫力に圧倒されます。
剱岳は、岩と雪の殿堂とも呼ばれ、多くのアルピニストを魅了してきました。登山者の憧れの対象となっており、一般登山道の中では最難関と言われることがあります。
登りルートにある垂直な岩壁「カニのタテバイ」と下りルートにある高度感のあるトラバース「カニのヨコバイ」を筆頭に鎖場やハシゴは13箇所もあり、気の抜けない道が続きます。
5番目鎖場「前剱の門」
9番目鎖場「カニのタテバイ」
そうしてやっとの思いで登頂。達成感はひとしおです。
ですが、下山こそ要注意。もう一度気合を入れ直します。
当たり前のように厳しい道が続きます。
下山途中で、登ってきた剱岳本峰を振り返ります。なんとも威厳がありかっこいいです。
テント場に戻ると登山リーダー研修で来ていた部活の後輩とまさかの遭遇。
人との縁が感じられることも山の醍醐味のひとつなんですよね。
これからも一期一会を大切にしていきたいです。
その次は、山行③ 黒部源流環状縦走 (富山県)です。
ワンゲル部の山行です。黒部ダムに水をたたえる黒部川の源流は、標高2924 mの鷲羽岳
にあります。この源流を囲むように、薬師岳・水晶岳・黒部五郎岳といった山々を環状に縦走する60 kmにわたる道のりを4日で踏破してきました。
北アルプス屈指の奥深い山域で静かな山歩きが楽しめます。
奥深い山々の雄大な山並みが広がります。
黒部川の源流域。秘境感が漂います。
北アルプス屈指の秘境、雲の平より仰ぐ堂々とした水晶岳
山行最終日は絶好の天気。太陽が顔を出します。
岩がゴロゴロした(山名の由来)黒部五郎岳のピーク
鷲羽岳山頂では、ライチョウとも遭遇 (後輩の撮影)
ところで、この山域では電波の良い場所がほとんどなく、天気に関する情報をインターネットから得ることは難しいです。
そんな時には…ラジオを用います。
NHKラジオ第二では毎日16時から正午の天気図を音声で流してくれる「気象通報」があります。
この山行では気象通報を聞いて天気図を何度か作成し、部員に共有していました。
ちなみに16時というと行動終了直後なので結構大変なんですよね。
それでも意地があるのでがんばります(笑)
9月10日12時の地上天気図。大まかな天気の傾向がつかめます。
私自身、4年生で引退が近いので、後輩と一緒に天気図をどう描けば良いか考えながら技術を継承できました。
最後に山行④ 火打山・妙高山 (新潟県)です。
この山々は北アルプスの北東側の「北信五岳」という山域に含まれます。
天気はあまり良くなく、秋雨前線が山域の北側に停滞している状況。
降雨は覚悟のもと実行することにしました。
実際に行ってみると、1日目から雷が遠くに聞こえる天気。
予想よりも早く秋雨前線が南下したせいでした。
それでも計画通りに妙高山に登り、山小屋に宿泊しました。
久しぶりのワンゲル部同期との有志山行で、山小屋泊も数年ぶり。
ほっこりするような時間が過ごせました。
しかし、2日目には秋雨前線が北陸まで南下。
夜中雷雨で、朝も大雨だったため、タイミングをみて火打山には登らずに下山することになりました。天気の把握が重要であることを改めて感じました。
以上、この夏の山行の振り返りでした。
改めて山は景色の綺麗さだけではなく、さまざまな魅力があると感じました。
そして、登山に天気が密接に関連することを実感し、もっと勉強していかなければいけないなとも感じました。
日本には体力や技術力、気分に合わせて多種多様な山があります。
ぜひ天気に関する情報を気にかけて安全第一で山に出かけてみてください!
長い文章でしたが最後まで読んでいただき、ありがとうございました!