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IRIE LAB MAGAZINE

防災科学技術研究所 (NIED)施設訪問 2024

こんにちは!入江研B4の大塚です!
2024年11月22日、昨年も訪問させて頂いた国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)に、今年も訪問させて頂きました。今年は入江研究室に新しく配属されたB3の2人と共に千葉工業大学の小田研究室の皆様もご一緒に参加されて、去年よりも大人数での見学になりました。
まず初めに飯塚 水・土砂防災研究部門長のご挨拶頂いた後に、櫻井主任研究員による「防災科研の雷研究」というテーマの講演を頂きました。

防災科研において雷研究を専門にされている櫻井さんのお話は「青天の霹靂(Bolt From the Blue:BFB)」が主なテーマになり、馴染みがあまりない現象なだけに私たちはその話に釘付けになりました。
BFBは、降雨域から離れたところに落雷する現象であり、落雷の警戒が弱いところにおいて落雷することで非常に危険なものであるという事を知る事ができました。
他にも積乱雲の内部構造のお話で、知らなかったこともあり非常に勉強になりました。
途中での雷クイズにおいて過去最大の雷は、1つの雷が水平方向に800 kmも広がったことや、最長で17秒間も放電が継続したという現象に触れて非常に驚きました!

続いて、上米良研究員による「地域の防災力をみがく共同実践」というテーマの講演を頂きました。
過去から現在にかけて、災害による死亡・行方不明者は確実に減ってきてはいるものの完全に0にすることはできていない現状に触れ、災害は「社会現象」であるということをおっしゃっていました。
災害の被害を決定づけるものとして「自然の猛威」・「社会の脆弱性」VS「社会の強靭性」の構造を挙げていて、このような災害に対する防災力の高め方として「先生徒」という考え方を教えてくださいました。
先生徒とは、防災に詳しい専門家が一方的に「先生」という立場になるのではなく、昔からその場所に住んでいて長年の経験があり、どの場所で災害のリスクがあるかを知っている住民の皆さんも「先生」になるという、学び合う場が非常に重要であるとして防災への理解が深まりました。
途中であった100年に一度の雨とはどういうものかという話では、年間発生確率が1%であるという定義があまり実感できませんでしたが、1年間でガンになる確率や事故に遭う確率よりは高く、お年玉付き年賀はがきの当選確率よりは低いという、ユーモアあふれる例を挙げてくださって上米良さんの研究に真剣に向き合う姿と、学生に楽しくお話を聞いてもらいたいというお人柄があふれる講演でした!

その後、昨年もお世話になりました清水主任研究員に防災科研の中の観測機器などの説明を屋外でして頂き、マルチパラメーターレーダーやマイクロ波放射計などの仕組みを非常にわかりやすい説明でご教授いただきました。私の研究である、線状降水帯の予測について清水さんのお話から学ぶところが多く思わず耳を傾けてしまいました。

施設に戻った後は砂を模した物質が引き詰められた川の実験器具で水を流し、土砂災害がどのように起きていくのか、水は土砂の中でどのように流れていくのかを視覚的に理解する事ができました。
実際の川のスケールではわかりにくい侵食・運搬・堆積の動きが非常によくわかり、皆さん興味津々で見学していました。
途中で、家を模したレゴブロックを装置内に置いて、どの場所が安全かを体験しました。個人的に面白かったのは、一番安全そうな場所においたM2野本さんのレゴブロックが真っ先に流されてしまい、野本さんらしいなと思いました(笑)

最後に清水さんから「積乱雲や線状降水帯の予測精度を向上させるための観測・予測技術およびデータ同化手法の開発」のというテーマの講演を頂きました。
冒頭でいい研究のためにという内容でお話をいただき、私たちのような学生がこれからのようなマインドで研究を進めていけば良いかを教えて頂きました。
講演の中のお話で私が特に印象に残っているのは「研究の社会的ニーズを考える」という事です。清水さんは極端気象現象を予測することで、半導体工場への雷の予測情報の提供をしていこうということも行なっていますが、予測の「見逃し・空振り」はどの社会で生活している人にとって意味合いが全く異なるというお話がありました。
例えば、気象庁の情報で見逃しが起きると人命が失われて取り返しがつかないことになってしまうので、一見空振りでもいいから出してしまえと思うかもしれませんが、雷によって生産を止めなければいけない半導体工場などにとって経済的な損失が多く出てしまいます。
研究はつい興味本位だけで進んでしまうこともありますが、目的を持ってどんなことに役立つのかという軸を持って行っていく事が重要だなと改めて実感しました。
これから線状降水帯の予測のためのデータ同化に関係する研究を私自身は行なっていくので、清水さんのお話を活かして頑張ろうと思いました!

今回参加した新配属のB3もこの見学を通して研究へのモチベーションが上がってくれたようですし、初めてお会いした小田研究室の学生の皆さんとも交流できましたので非常に良い経験となりました。
また何かしらの機会で関わっていけたらいいなと楽しみにしています!

非常にお忙しい中、防災科研の皆さんありがとうございました! 

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