SKYNET国際地上リモートセンシング観測網はGAME(GEWEX Asian Monsoon Experiment)において 中国の寿県(後に合肥に移設)およびタイのSriSamrongにスカイラジオメーター及び日射計、放射計を設置し、常時観測を開始したことに始まります。その後、ADEOS IIの打ち上げに伴うGLI(Global Imager)の成果物の地上検証活動が開始され、その支援を受けてSKYNETの観測場所が日本を含む東アジア域に拡張されました。
1999年度後半からは科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業(CREST)において「アジア域の広域大気汚染による大気粒子環境の変調」の課題が採択され、雲・エアロゾルの放射影響評価に関するプロジェクトが推進され、この中で地上観測の重要性が明確になりました。2002年から始まった総合地球環境学研究所のプロジェクト研究「大気中の物質循環に及ぼす人間活動の影響の解明」においては、さらにSKYNETによる地上観測活動が推進され、東アジアを中心とした研究の発展に寄与しました。
2006年から2010年度にかけては、文部科学省・地球観測システム構築推進プランのプロジェクト:対流圏大気変化観測研究プログラム「SKYNET観測網によるエアロゾルの気候影響モニタリング」において、SKYNET地上観測ネットワークの整備・運用がなされました。この中で、SKYNETは東アジア・インド・東南アジアを含むアジアの観測空白域において、エアロゾル・雲・放射の各要素を総合的に観測するシステムとして位置づけられ、同地域のみならず世界の気候変化、水循環・植生変化等の研究に資するデータを高い確度で持続的に提供することを目的としました。また、データの準リアルタイム処理を通じて、迅速に大気環境状態を把握するとともにデータの一般公開を可能としました。
その後、科学技術振興機構・CRESTの「再生可能エネルギーの調和的活用に貢献する地球科学型支援システムの構築」の課題(2012年~2015年)において、また、その発展的研究としてCRESTの「分散協調型EMSにおける地球科学情報の可用性向上とエネルギー需要モデルの開発」の課題(2015年~2019年)において、SKYNET観測網を基盤とし、静止気象衛星ひまわり8号から推定される全天日射量データの誤差評価地上システムの構築が行われました。加えて、数値モデルの予測高度化を目的とした科学研究費助成事業・基盤研究A課題「エアロゾル地上リモートセンシング観測網による数値モデルの気候変動予測の高度化」(2015年~2019年)、高度な衛星観測データ利用による全球エアロゾル分布解明を目的とした基盤研究B課題「衛星搭載アクティブ・パッシブセンサーデータの複合利用による全球エアロゾル解析」(2015年~2017年)、ひまわり8号エアロゾルデータの高確度検証を目的とした科学研究費助成事業・基盤研究C課題「ひまわり8号エアロゾルデータの国際地上リモートセンシング観測網による高確度検証」(2016年~2018年)を通じて、SKYNET観測網の発展が図られました。千葉大学はこのSKYNETを主導しつつ、「観測→データ転送→解析→データ可視化→公開」の一連の自動スキームを確立し、常時稼働させることで、常に最新のデータを有しています。
SKYNETサイト: SKYNET (irie-lab.jp)