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D1

神谷 義一

Yoshikazu KAMIYA

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研究タイトル

降水後イベントのエアロゾル量に着目したエアロゾル雲の相互作用

研究目的

気候変動予測における不確実性の大きな要因として、エアロゾルによる有効放射強制力が挙げられる。特にエアロゾルと雲の相互作用の理解が重要な課題である。本研究では、その一因と考えられる、降水時のエアロゾルの挙動に注目し、降水後のエアロゾル量の変化を手がかりとして湿性除去の影響を定量的に評価することを目的とする。

研究内容

エアロゾルの中でも特に蓄積モード粒子に注目し、その代表成分としてブラックカーボン(BC)を対象とした。BCは大気中での化学反応性が比較的低く安定していることに加え、二酸化炭素(CO₂)と共通の排出源を持つため、CO₂濃度を用いた機械学習モデルによるBC濃度の予測が可能であると考えた。この特性を活かし、CO₂濃度を説明変数とした機械学習モデルを構築し、BC濃度の予測を行った。これにより、CO₂のようなガス成分の変動を考慮しながら、湿性除去によるBCの減少を評価することが可能となり、降水イベントにおけるエアロゾルの挙動をより定量的かつ実証的に考察できる。

研究成果

重回帰分析、ランダムフォレスト、サポートベクター回帰(SVR)を用いた予測モデルの構築を行い、特にランダムフォレストおよびSVRといった非線形モデルにおいて高い予測精度が得られた。これらのモデルを用いて降水時のBC濃度を予測したところ、実測値と予測値に乖離が見られた。予測値よりも実測値が低いケースでは、降水による湿性除去の影響が示唆される一方、降水後にもBC濃度が減少しない、あるいは増加する事例も観測され、単純な湿性除去だけでは説明できない複雑なメカニズムの存在が示された。このような予測と実測の乖離について、気象条件との関連を検討したところ、風速が大きい場合には大気中のBCが拡散されやすくなり、その結果として濃度が低下する傾向が見られた。また、風向が南西方向からの場合には、都市域や工業地帯を経由するためCO₂濃度が高くなる傾向があり、これがCO₂を説明変数としたモデルにおけるBC予測に影響を与えている可能性が示唆された。これらの結果は、降水だけでなく気象要因も含めた複合的な要因によってBC濃度が変動していることを示しており、今後のモデル精度向上にはこうした要因のさらなる考慮が必要である。

研究展望

【統合的解析でより詳細なエアロゾル動態理解】

 

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